こんにちは、複業MRのたかくんです。
今回も勉強中の不動産投資に関する書籍のレビューです。
今回の書籍は「年収500万円からのローリスク不動産投資/原内直哉」です。
不動産投資に本気で取り組もうと決意して何冊か読んでますが、著者がどの立場で書いてるのか、ということも結構重要。
「不動産投資による副収入で精神的に自由になる」、「不動産投資によってアーリーリタイアする」など。
それによって書かれてる内容は変わってくるので、それを踏まえたうえで読んだほうがよりフラットな立場で見えるかもしれないということに今更ながら気付きました。
ちなみにこの本の著者は…
あくまで不動産投資は、大儲けを目指す投資ではなく安定収入に基づき手堅く資産を増やすことを目標とするものです。
というスタンス。
本業として収入を得ながら、その資金を元に資産を増やすということからサラリーマンに最適の投資であり、儲けの手段としてではなく、資産形成の手段として捉えるという考え方です。
以上を前提に参考になりそうな部分を紹介していきます。
初めての不動産投資で利回りは無視すべき!?
この本では不動産投資の利回りについてこう書かれていました。
不動産業者の利回りは無視すべき
と…表面利回りはなんの意味もない、と断言。
その理由として、本来かかるコスト(物件価格の7%といわれている諸費用や、空室リスクなど)が反映されていないから。
そのうえで、物件を購入する際の指標として、「総収益率(FCR)」に注目すべきとのこと。
総収益率とは…ネット利回り(実質利回り)とも言われます。
実際にかかる総コストに対して、その物件がどれだけの収入を生んでるかの指標。表面利回りと異なり、あらゆるコストや収入が反映されている。
物件を見るときは表面利回りではなく実質利回りに注目しましょう!
初めての不動産投資における出口戦略について
不動産投資について、物件を購入したら必ず出口を考えた方がいいとのこと。
基本的に売却を前提にして物件を購入すべき
いわゆる物件購入後の出口戦略ですが、老朽化・劣化するため長く持てばいいというものではありません。
価値が下がったときに改修などのバリューアップを図るのか、それとも売却するのか、いずれにせよ、物件価値が下がり続けているのに何も手を打たずに所有し続けるというのは、不動産投資では一番やってはいけないことです。
売却かバリューアップか何かしら手を打たないと取り返しがつかなくなるということと、売れるときに売っておかないと、売れなくなってしまうとのこと。
ちなみに売却の指標として、「IRR(内部収益率)」なるものがあり、IRRが下がり始めたときが売却時期。
「IRR(内部収益率)」とは…
物件を長期間保有する場合に、各年度の家賃の変動や売却時の物件価値などを反映した複利の利回りを指します。
つまり…当初の投資コスト(投資額)に対する各年度の現在価値の利回りのこと。
このIRRが上昇傾向にある期間が、木造中古だと購入後5〜10年といわれているとのこと。
初めての不動産投資では一棟買い、区分所有どちらがおすすめ?
不動産投資で必ず話題に上がる一棟買いか区分所有か、という判断。
今まで読んだ本では初心者には区分所有がおすすめ!ということが多かったですが、この本はそれらとは異なり、区分所有よりも一棟買い派でした。
区分所有が低予算から始められる、ローン返済のリスクも少ない、ということを差し引いても一棟買いが有利という立ち位置。
不動産投資は一棟買いにすべきです。リスクの許容度から言っても、また投資効率から言っても一棟買いの方が断然有利
区分所有より一棟買いをオススメする理由には以下のことがあげられていました。
「空室リスク」
区分所有であれば一室に入居者がいるか、いないか、つまり100かゼロですが、一棟買いであればゼロになるリスクは低く、まったく家賃収入が入ってこないということは少ない。
他にも区分所有と一棟買いでは以下のことに差が出るとのこと。
- 自己判断の余地が少ない、家賃設定など他の部屋が値下げすると、値下げせざるを得ない。
- 改善について、一室だとできる範囲が限られている(壁紙など)。
- 雑収入についても、一棟であればバイクガレージなどによる雑収入も可能。
- 区分所有の場合、手元に残るキャッシュもわずかという可能性も高い。
月6、7万の家賃収入の場合、維持費と管理費で1万5000円から2万円かかり、わずかしか手元に残らない。
上記の理由から区分所有より一棟買いとのスタンスでした。
初めての不動産投資では中古と新築どちらがおすすめ?
上記の一棟買いか区分所有かと同じように「中古」か「新築」かという問題もあります。
新築、中古のそれぞれの特徴としては…
- 新築は、すぐに修繕の必要はない、購入した瞬間に価値が一気に下がる
- 中古は、修繕の必要あり、家賃の値動きが安定している
などなど一長一短あるとしながら、
「長期保有し続けるなら新築、売却や建て替え、再投資を行うなら中古」
がおすすめとのこと。理由は、上記の特徴がそれぞれにあるから。
初めての不動産投資では木造とRCどちらがおすすめ?
上記に続いて、木造かRCかについてでは、節税効果は、木造よりもRCがすすめられていました。
理由としては、法定耐用年数が関係してきます。法定耐用年数の期間は減価償却費を経費として収入から控除できるためRCがおすすめとのことでした。(RCの法定耐用年数は47年、木造は22年)
節税効果についてはRCをすすめているものの、トータルで考えると以下のようなものがおすすめとのこと。
サラリーマンの不動産投資に向いている物件タイプを強いて挙げるのなら、都心に近く比較的新しめの中古木造物件
理由…木造のほうが購入金額が安めで融資が受けやすい、出口戦略が取りやすい(解体費が安いため更地などの選択肢もある)
不動産投資初心者における物件購入時の注意点
誰も物件選びで失敗したくありませんよね?
そんな物件購入時の注意点はネットに掲載している不動産情報から想定することもできるとのことで、設備内容に記載がない場合は、不動産会社が物件調査を行なっていないか、売主から物件の資料を貰っていない可能性もあるとのこと。
さらに、施工会社名や不動産管理会社名が記載されていない場合、すでに倒産している可能性や評判がよくない。ということもある。
そのほかにも…
不動産会社に設備について質問したときに「少々お待ちください」という返答だったら、本格的に調査されていないと考えたほうが無難です。
区分建物の管理費が極端に高かったり、安かったりするのも要注意です。
管理費の相場は6000円から1万円強が相場。修繕積立金も同様。15戸で2000円程度など用心すべき、とのことでした。
物件購入時における家賃設定について
物件購入の際にいくらの家賃を想定して計算するか、ということは、家賃収入に直結するので非常に重要です。
そんな家賃設定については、検討している物件と同じ地域の同じ間取りの物件を基に設定していくことが基本です。
その物件と同じ地域にある似たような物件の賃料を基に、相場の賃料を定めていきます。
この賃料は、物件を購入する時期によっても変動があるとのこと。(夏場は若干低めに設定されているなど)
家賃設定の具体的な手順はこちら。
その物件と「最寄り駅」「築年数」「物件のタイプ」「広さ」という観点でほぼ共通する物件を3〜4件選びます。
これでおおよその相場を把握する。
次に比較したい項目(キッチンやトイレなど)の項目を上げていき、細かく比較し、家賃から差し引きしていく。
さらに物件固有の条件を加味する。
一棟の場合、すべての部屋が同じ賃料ではない。一階と二階、角部屋などによって賃料を変える。
以上のようなことをみていくことで、よりリアルな家賃を想定できるとのこと。
物件購入時の損益分岐点と空室
損益分岐点とは、文字通り「損益」と「利益」が分岐する点、つまりマイナスとプラスが釣り合っている状態です。
主にどの時点から利益が出始めるか、ということを知るのに使われる用語です。不動産投資にそれを当てはめていました。
アパート経営の損益分岐点とは、ズバリその物件がどのくらいの空室に耐えられるかということになります。そして、物件が持つ空室の許容度を示す指標がBER(損益分岐入居率)です。
BERはOpex(運営費)とADS(年間総返済額)を加えたものをGPI(潜在総収入)で割った数値です。
つまり、BER(損益分岐入居率)とは「入居者の有無に関わらず出て行くお金」を、「空室率が何%まででカバーできるか」を知る指標。
横文字使われると一気に取っ付きにくくなるけど、ちゃんと見ればそんなに難しいことじゃありません。
具体例もありました。
ある物件のOpexとADSの合計が750万円で、GPIが1000万円だとすると、BERは750万円÷1000万円で75%となります。
つまり、その物件の空室率が年間25%までなら赤字にならないということが言えるのです。10室だとすれば、10室×12ヶ月×25%で、年間3部屋が10ヶ月の間、完全に空室でも費用の支払いはできます。
理想のBER(損益分岐入居率)は70%以下。つまり、30%の空室率に耐えられるかどうか。10室あれば3室が空室でも費用の支払いができるというイメージ。
これは立地する地域の空室率に応じて変わる、地域の空室率が30%ならBER70%でも安心できない。
初めての不動産投資でフルローンは避けるべき?
ローンを組む際に、自己資金なしのフルローンだとオーバーローン(債務超過の状態)になりやすくハイリスクなので避けるべきとのことです。
債務超過した物件を保有していると、資金を回すために次から次へと物件を買い足していかなければならず、最終的には破綻してしまいます。
では不動産投資においていくら必要なのかというと…物件価格の15%〜20%程度です。
その理由として、頭金を10%、諸費用を5〜10%程度見積もった額です。
またローンを組むとなると早く返済したくなるので、余裕があるときに繰り上げ返済も視野に入れたくなるものですが、不動産投資において繰り上げ返済はマイナスとのこと。
不動産投資に限らず、投資というものはできるだけ手元に現金を残し、再投資することが鉄則です。
手元のキャッシュが減るほうが、不測の事態に対応できないという意味でリスクなので、繰り上げ返済はしないほうがいいとのことでした。ただしマイホームのように早く自身の資産にしたい場合、繰り上げ返済は有効です。
「年収500万円からのローリスク不動産投資」のまとめ
今まで読んだ書籍とは違った視点(一棟買いのすすめ)を得られた本。また、ここで紹介した以上にいろんな指標も掲載されていたので、さまざまな視点から物件購入を検討できそうです。不動産投資が初めてという方は是非ご一読ください。
引用:給料+アパート経営で資産を築く 年収500万円からのローリスク不動産投資