こんにちは、複業MRのなすたかです。
ここ数年で広く知られるようになったジェネリック。CMでもバンバン流れてますよね。
そんなジェネリック医薬品について、医薬品の専門家(医薬情報担当者)が解説します。
専門家といっても、薬剤師ではなく、製薬メーカー勤務です。ぼくは営業ですが、会社としては医薬品の研究、開発も行っています。
そんな内情を知っている医薬品のプロとして、ジェネリック医薬品、先発医薬品について、できる限り中立な立場でご紹介します。
そもそもジェネリック医薬品とは?
最近では、ジェネリック医薬品という言葉もだいぶ浸透してきましたね。
国が医療費を抑えるために、調剤報酬や診療報酬で使うように誘導しているので、当然といえば当然。
ちなみにみなさんはジェネリック医薬品にどういう印象をお持ちでしょうか?
おそらく「安い薬」という印象が一番じゃないでしょうか?
薬局で薬をもらうときも、「先発品と同じ効果で安い薬」
このように伝えていることがほとんどじゃないかな、と思います。
時間が限られているなかでの説明なので仕方ないし、間違ってないと思います。
それを正確にいうとこちら。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について
要するに、先発品の特許が切れたあとに、別の会社が真似して作る医薬品のこと。
真似して作るので、先発品メーカーが莫大な金額をかけている開発費や研究費がかかりません。
先発医薬品の研究開発には、約9年~17年程度の長い歳月と数百億円から数千億円を要すると言われる莫大な投資費用が、コストとして薬の値段に反映されています。これに比べてジェネリック医薬品の場合、既に有効性や安全性について先発医薬品で確認されていることから開発期間やコストを大幅に抑えられ、結果として薬の値段も先発医薬品と比べて4割~5割程度も安く設定することができます。
政府広報オンライン
だから安いんですね。
ある先発品メーカーのMRが、ジェネリック医薬品を夏休みの宿題に例えていました。
真面目な人が宿題を苦労して1からやって、終わったときに横着者が書き写すってよくあるけど、後発品(ジェネリック)はそれに似てる。だから労力をかけずに同じ物ができる。
良い言い方ではありませんが的を射ています。これに付け加えると、誰でもマネできるから差別化できないという点があります。そこで後発品(ジェネリック)は味や剤型を変えて飲みやすくすることで差別化しているものもあります。
※この辺りの文章はだいぶ先発品側の立場で書いています…お許しください。
先発品メーカーとしては、苦労して労力とお金をかけて、研究してようやく発売できたものを、マネされるという悔しい思いもあるので、文章でもそれが出ちゃってます。すみません。
さらにいうと、得意先のドクターはまだまだジェネリック医薬品に不信感をもっているというのも実情です。そんな思いもあって、先発医薬品よりの文章になってしまってます。
(薬局さんは生き残りもかかっているので、積極的にジェネリック医薬品をすすめていますが…)
そんなことも、実情としてお伝えしたいてす。
ジェネリック医薬品は本当に先発医薬品と同じなのか?
「ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じなのか?」と聞かれると、
「同等と承認されいるが、まったく同じわけではない」という答えになります。
というのも、ぼくも勉強して、はじめて知ったのですが、ジェネリック医薬品と先発医薬品は微妙に違うのです。それが、ジェネリック医薬品の基準からわかります。
先発品と同じといっても、どうやって同じだと判断するかご存知ですか?
それだけは、きちんとデータを取ることが求められていて、その基準は…
血中濃度が先発品の80~125%であればいい
というもの、経口医薬品の多くは血中を介して効果を発揮します。
つまり極端にいえば、(血中濃度がそのまま効果に繋がるかは別にして、)先発品の80%の効き目しかないものもあるかもしれないということ。
厚生労働省が定める基準によると、生物学的同等性試験の許容域を80%
~125%としているが、これはすなわち、ジェネリック医薬品と先発医
薬品の治療効果が最大45%の範囲で異なるということを示している
のか。
ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~
というQ&Aも掲載されています。
▼ちなみに回答はこちら
生物学的同等性試験で設定されている許容域の幅は、ジェネリ
ック医薬品と先発医薬品の治療効果の差を意味するわけではあ
りません。この幅は、医薬品を服用した後の血中濃度が、被験者
の体質や体調によって大きくばらつく中で、統計的な評価を適確
に行うために設定されたものです。この許容域を満たせば、治療
効果は安全域をもって同等となります。
実際に承認されている医薬品のデータの検証を実施したとこ
ろ、先発医薬品とジェネリック医薬品の血中濃度にはほとんど差
がありませんでした。
ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品 Q&A~
さらに血中濃度しかデータを比べていませんが、血中を介せず、効く薬剤もあります。
そういった薬剤では、同等性がはかれてるとは言えない、という実情もあります。
ほかにも添加物の違いもあります。
医薬品は、薬効成分以外にも、薬剤を固めるための添加物や、安定させるための添加物などが含まれています。
しかし、ジェネリック医薬品と先発品では、これを揃えるという基準はありません。
つまり、ジェネリック医薬品では、先発品で使われていなかった添加物が使われる可能性もあります。
それによる副作用がないとは言い切れません。
先発品は、それも踏まえた上で臨床研究などを行なっていますが、後発品は前述したように臨床研究が義務付けられているわけではないので、添加物を変更したことによる影響が出てもおかしくないという状況です。
以上、先発品メーカーのMRという立場で後発品について紹介しました。
できるだけ、偏りなくと心掛けましたが、やはり先発品よりの紹介になってしまいました。
とはいっても、国としてすすめているので否定するつもりはありません。
実際にほとんどのジェネリック医薬品は、問題ないかと思いますが、今回紹介したような背景があることを知って欲しいという願いを込めて、書かせてもらいました。
少しでも参考になれば幸いです。