現役MR(もちろんMR認定試験を受験して合格しています)であるわたしが、今後MR認定試験を受験する方のためMR認定試験について解説していきたいと思います。
そもそもMR認定試験とは、年に一度(例年12月の第二日曜)に行われる製薬業界独自の試験です。
その名の通り第三者機関が「MRを認定する試験」で、MRとして働くには避けては通れない試験になります。
第三者機関とは公益財団法人MR認定センター(旧財団法人医薬情報担当者教育センター)のことで、詳しくは「MRとは?医薬情報担当者について現役MRが解説!」に記載しました。
MR認定試験の概要
まずはじめにMR認定試験の概要をご紹介します。
MR認定試験の試験科目
試験科目
(1)医薬品情報 (2)疾病と治療 (3)医薬概論
医師、歯科医師、薬剤師は資格を確認し、(1)~(2)を免除します
MR認定センター-MR認定試験の受験申請
試験科目は上記のように「医薬品情報」、「疾病と治療」、「医薬概論」の3科目あり、この科目はそれぞれMRテキストとリンクしています。
MRテキストとは?
MRテキストとは、Ⅰ~Ⅲまでありそれぞれ下記のような内容になっています。Ⅱの疾病と治療が2冊あるため全4冊です。
MRテキストⅠ 医薬品情報 2012 2015年改訂
MRテキストⅡ 疾病と治療 2012 (基礎) 2015年改訂
MRテキストⅡ 疾病と治療 2012 (臨床) 2015年改訂
MRテキストⅢ 医薬概論 2012 2016年改訂
※いずれも2016年10月15日現在
MR認定試験は、基本的にこのテキストからの出題となるので、MRとして製薬会社に入社すると数ヶ月(6ヶ月程度)は研修期間(導入教育といわれています)としてこのMRテキストをみっちり勉強することになります。
というか、導入教育を受けなければMR認定試験の受験資格を得られないので導入教育が必須となります。
ちなみに以前(2011年ぐらい)までは「疾病と治療」、「薬理学」、「薬剤学」、「添付文書」、「医薬概論」、「PMS」の6科目でしたが、現在(2016年)では3科目に減り、「医薬品情報」、「疾病と治療」、「医薬概論」になりました。受験する側としては科目が減って少しは負担が減ったかもしれません。
また一般的には3科目の受験が必要ですが、医師免許か薬剤師持っていれば2科目免除されるため、試験は医薬概論の1科目のみの受験になります。
試験科目
3科目:
1)医薬品情報
2)疾病と治療
3)医薬概論
医師、歯科医師、薬剤師は資格を確認し、1)~2)を免除します。
MR認定センター-第23回(2016年)試験要項
医師免許を持ってて、MRになるって人はあまり聞いたことありませんが、薬剤師免許を持ってる人は少くないです。(逆にMRから医師になったという人はわたしが知っている中でも数名いらしっしゃいます。)
MR認定試験の合格ラインは?
上記にもあるようにMR認定試験は3科目あり、すべてに合格しなければMR認定証はもらえません。ただし、それぞれの科目の合格点数は明確になっていません。科目によって異なりますが、7割〜8割が合格ラインといわれています。ちなみに、全科目マークシート方式です。
合否の判定
・科目単位制とし、科目ごとに合否を判定し、全ての科目において一定水準以上の者を合格とします。
・合否の結果は、企業内受験者には企業を経由して通知する。個人で申請した者には直接通知します。
・合格科目の有効期限は、初回の受験年月から5年間とします。
MR認定センター-第23回(2016年)試験要項
MR認定試験が不合格だったら…
年に1回のMR認定試験ですが、もし不合格だったとしても、実際の業務にほとんど差し支えはありません。
大学病院や市民病院などの大きな病院では、MR認定証(MR認定試験に合格するともらえるもの)がなければ訪問できないところもあるので、そういったところを担当することはできませんが、多くの医療機関(特に開業医)ではそういった規制がないため、MR認定証がないとMR活動ができないというわけではありません。
そのため、特に開業医やクリニック担当であれば、現場レベルでMR認定試験の合格・不合格はあまり関係ないといえます。(合格発表などがあると先生との会話やMSさんとの会話で話題になることはあります)
じゃあなぜ、合格を目指しているのか?
MR認定試験に合格しなくても、MR活動に大きな支障がないのに、なぜ合格を目指すのか?というと理由はふたつあります。
ひとつが、対外的な問題として、先ほどもあげたように、大きな病院に訪問できなくなるという点。
もうひとつが社内的な問題です。正直なところ、MR認定試験に合格しているのが大前提なので、合格せずにMRをやっている人って聞いたことがありません。合格率も高い試験なので、受かってて当たり前というのが業界の認識です。
ちなみに合格率は…70~80%前後といったところのようです。
MR認定センターが1月29日に公表した第22回MR認定試験の合格率は、前回より1.3ポイント下回り73.1%だった。第20回以来70%台前半が続いているものの、新規受験者だけを見ると84.2%と1.7ポイント上回った。
ミクスonline
受かってて当たり前という認識の試験なので、MR認定試験に合格していなければ、社内評価は下がります。というか、おそらくMR認定証がなければ現場から外すことになると思います。上記のように大きな病院に訪問できない人をあえてMRのままにしておいても、会社としてはメリットはありませんからね。
合格率の高さだけでなく、救済措置があるため、MR認定証がないままMRを続けているという人はいないと思いますが…次で詳しく説明しますが救済措置というのは、年に1回のMR認定試験は、1年目で3科目合格しなくても、4年までは考慮されるというもの。その救済措置があるので、ほとんどがMR認定証をもっているというのが現状です。
もしMR認定試験に落ちてしまったら?
前述したように、もしもMR認定試験に不合格でも救済措置があります。
それは、一度受験して合格してる科目は、4年間は免除されるというものです。(初回の受験年月から 5 年を経過したら全科目受験となります)
受験資格
1)平成 13 年度以降の導入教育を修了認定された未受験者
2)MR認定試験不合格者(再受験者)
①第19回MR認定試験以降の受験者(初回の受験年月から 5 年を経過したら全科目受験となります)
②第18回MR認定試験までの受験者(初回の試験結果通知の年月から 5 年を経過したら全科目受験となります)
※第19回MR認定試験から合格科目の有効期限が変更になっているので注意してください。
3)MR認定証の失効者
4)導入教育の基礎教育を修了認定された未受験者
MR認定センター-第23回(2016年)試験要項
つまり、一度目で、2科目合格していれば、翌年は1科目合格すればMR認定証が貰えるという仕組みです。
例えば2016年に初受験して医薬概論のみが不合格だとすると…
2016年(1度目)3科目受験
1)医薬品情報:合格
2)疾病と治療:合格
3)医薬概論:不合格
2度目には合格した科目は免除され、不合格だった医薬概論のみの受験となります。
2017年(2度目)1科目受験
3)医薬概論
このような仕組みのため、ほとんどは2年もあれば合格できます。
MR認定試験のための研修について
救済措置もあり、合格率も比較的高いMR認定試験ですが、製薬企業に入社すると1年目の社員は、MR認定試験に合格するためにみっちりと研修を受けることになります。
会社によって期間は異なりますが、長いところでは6ヶ月以上の研修です。この研修はMR認定試験の受験資格にもなるので会社としても研修をやらざるを得ないという状況があるようです。こういった手厚い研修があるため合格率が高く維持されてるということもあるでしょう。
その研修を新入社員全員で研修施設に缶詰め状態で受講することになるので、学生気分から抜け出せないという人もいるようです。よく聞くのは研修期間中に、カップルが成立したり、別れたり…とまるで学生状態。
基本的に研修中は1日中座学なので、眠気との戦いが大変だったのを覚えていますが、給料をもらいながら、勉強できるので非常に恵まれている業界ともいえます。
また研修中は、講師や研修部としか会わないので先輩というより先生のような感覚で、もちろん得意先のドクターとも面談することはないので、そういったところからも学生気分から抜け出せない人が多いのも実情。実際配属されてはじめて、社会の厳しさを目の当たりにすることになります。
このように、他の業界とは違って研修も十分すぎるほど充実しているので、試験への準備はその間にいかに勉強したかで変わります。
MR認定試験後の勉強について
MR認定証は更新制になっていて、更新するには継続教育を受ける必要があります。
実際、製薬会社に勤めている限りは、毎月の研修を受けていれば更新できるような体制になっているので、特別、更新のために個人で何かするということはありません。毎月、丸1日かけて社内で研修を受講することになります。
もし、営業から別の部署に異動になったとしても、継続教育を受けていれば更新は可能のようです。
MR認定証の更新条件
MR認定証の有効期限は5年間です。
更新するためには、MR認定証の有効期限の前年3月31日までの5年間に教育研修を受講し、修了認定を受けていることが条件です。継続教育は生涯教育の一環をなすものと位置づけられ、日進月歩する医療業界の中で、新しい情報、知識を修得するために製薬企業またはCSO(MR派遣業)で継続的に行われているものです。
継続教育を所定の5年間受講し、常に新しい情報や正確な知識の修得を行っていることが、MR認定証の更新条件となります。
要するに、一度合格していれば、ほとんど自動で更新できるので、はじめに合格できるかどうかが一番重要なポイントです。
ということで、MR認定試験について説明しました。
これから受験する方、MRになりたいと思ってる方などにお役に立てれば幸いです。
MRとして働くうえで読んでおきたい本をこちらにまとめましたので、ぜひ合わせて読んでください。