こんにちは、複業MRのたかくんです。
突然ですが皆さんは、「MR」という職業をご存知ですか?
おそらく知らない人が大半だと思います。というのも我が家の両親も自分の息子の職業であるMRについて知りませんでしたし、いまだに仕事内容はよくわかってないと思います。
このように馴染みのない方にとってはMRという職業を知らないというのが現状です。
ただ、それはしょうがないことでMRは一般の人と接する機会が少ないため、特に我が家のように医療業界とは無縁の人にとっては馴染みのない職業ということになるわけです。
そんな両親や一般の方にしっかりMRという職業について伝えたい!と思ったことと、MRを目指している学生さんや転職を希望している方の役に立てば…という思いから現役MRであるわたしが解説も踏まえてMRについてまとめたいと思います。
MRとはどんな職業?
MRとは、Medical Representatives(メディカル・リプレゼンタティブ)の略で、医薬情報担当者という意味です。
一般的には、製薬会社の営業職(医薬品の営業)のことを指し、MR認定センターでは下記のような定義になっています。
MR とはどんな仕事をする人?
MR(Medical Representatives)は、製薬企業の営業部門に所属しています。最近では、人材派遣会社から派遣されて製薬企業で働いている人もいます。
MRの仕事は医療機関を訪問することにより、自社の医療用医薬品※を中心とした医薬情報(医薬品およびその関連情報)を医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)に提供し、医薬品の適正な使用と普及を図ること、使用された医薬品の有効性情報(効き目や効果的な使い方)や安全性情報(副作用など)を医療の現場から収集して報告すること、そして医療現場から得られた情報を正しい形で医療関係者にフィードバック(伝達)することなどを主な業務としています。
※医療用医薬品とは、病院や診療所で医師の処方箋によって使用される医薬品のこと。これに対し薬局などで処方箋無しに購入できる医薬品のことを一般用医薬品といいます。
要約するとMRとは製薬会社の営業職として、自社医薬品の適正な使用と普及を図る職業ということになります。
▼MRになりたい!気になる!という方はこちらの記事をどうぞ
MRの歴史とMR認定センターとは?
そもそもMRを定義しているMR認定センターというのは、MRの認定を行う第三者機関です。
もともとは1979年に国会でMR認定制度について議論がはじまり、諸外国にならいMR資格認定制度導入が検討され、それにともない公正な第三者機関が必要とのことで「日本MR教育センター」(MR教育センターの前身)が1995年に設立、1997年に正式にMR認定制度が導入され、「財団法人医薬情報担当者教育センター」(MR教育センター)が設立した、という経緯があります。
- 1979年(S54) 国会でMR資格制度の導入・議論
「MRの教育研修要綱を作成」日本製薬工業協会- 1994年(H6) 「医療におけるMRのあり方検討会報告書」(厚生省薬務局長私的検討会)の公表
→ 資質向上に資格認定は必要と示唆
「国家資格ではなく、ヨーロッパ諸国の例にならい、公正な民間機関によるMRの資格制度を導入すべきである」
製薬業界で「MR資格認定制度検討会」が発足し、認定制度の検討を開始- 1995年(H7) 「MR資格制度認定検討会報告書」の公表
→ 公正な第三者機関によるMRの認定制度が必要と結論
財団の前身の「日本MR教育センター」を設立
MR資格制度の研究、MRが学習するテキストの刊行などを行う- 1997年(H9) MR認定制度の導入を決定し、具体的な準備を開始
「財団法人医薬情報担当者教育センター」(MR教育センター)の設立
第1回MR認定試験の実施(全国11地区)- 1998年(H10) 第1回MR認定試験結果の公表及びMR認定証の交付
(財)MR教育センターが「教育研修要綱」を制定
第2回及び第3回MR認定試験を実施(以降、MR認定試験は年2回実施)
つまり、MRが正式に誕生したのは1998年で、まだ20年も経過していないということになります。
ほかの職業と比較しても歴史の浅い職業ということが、馴染みのない方が多い要因のひとつかもしれません。
ちなみに諸外国においてMR資格認定制度の導入の歴史は下記のようになります。
参考「諸外国のMR資格認定制度」
1968年(S43) 英国においてMR資格認定試験制度を導入
1978年(S53) 西ドイツにおいてMR資格試験制度を導入
1993年(H5) フランスにおいてMR資格認定制度を導入
2015年(H27) 中国においてMR資格認定制度導入が検討される
公益財団法人MR認定センター:設立の歴史
ヨーロッパではより早い段階でMR資格認定制度が導入されています。
また、日本においては生命関連製品である医薬品を取り扱う職業のため厚生労働省令でも記載があります。
4 この省令で「医薬情報担当者」とは、医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令
(平成十六年九月二十二日厚生労働省令第百三十五号)
以上がMRの歴史になります。
ちなみに病院やクリニックなどで、スーツ姿でビジネスバッグを持って、患者さんではないけど、病院のスタッフでもなさそう…
そんな人を見かけたことはありませんか?それがMRです。(厳密には、医療機器の営業もいますが、圧倒的にMRの方が多いのが現状です)
MRの業務内容は?
MRは、医薬情報担当者という名の通り、自社医薬品の情報をドクターに伝えて、自社製品の適正使用と普及を図るのが仕事です。
つまり大きな目的は「自社医薬品の適正な使用と普及を図ること」になります。
モノではなく情報を取り扱うというのがMRの特徴で、一般的な営業との違いになります。モノ(医薬品)に関しては卸店が対応するという点に関しては改めてまとめていきたいと思います。
では、MRの業務内容より正確にみていくためにMRの定義を参考にしたいと思います。
上記にも書きましたがMR認定センターによるとMRとは下記のように定義されています。
MRの仕事は医療機関を訪問することにより、自社の医療用医薬品※を中心とした医薬情報(医薬品およびその関連情報)を医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)に提供し、医薬品の適正な使用と普及を図ること、使用された医薬品の有効性情報(効き目や効果的な使い方)や安全性情報(副作用など)を医療の現場から収集して報告すること、そして医療現場から得られた情報を正しい形で医療関係者にフィードバック(伝達)することなどを主な業務としています。
公益財団法人MR認定センター:MRとは
この定義を読み解くとMRは自社医薬品の適正な使用と普及を図るために大きく3つの業務があることがわかります。
それが医薬品情報の「提供」、「収集」、「伝達」です。
これを解説していきます。
MRの業務内容:「提供」
まずは「提供」ですが、これは主に自社医薬品の情報の提供になります。
実際の現場では…
といったことをパンフレットを見せながらドクターや薬剤師に紹介していくという感じになります。
このように医薬品の情報とは、医薬品の基本情報(剤形や効能・効果、副作用)だけでなく、薬剤を使った際のデータから、医薬品の対象疾患に関連する情報、疾患のガイドライン、類剤情報など多岐に渡ります。
扱う医薬品によっても対象疾患などは異なるので、例えば高血圧関連の薬剤であれば高血圧の疾患情報が、糖尿病関連の薬剤であれば糖尿病の疾患情報が必要になります。
つまり、取り扱う製品が多ければそれだけの知識が必要になります。
ただし、会社によって取り扱う製品は大きく異なるので、どこの会社に属しているかでも必要な知識は異なってきます。
もっと言えば、同じ会社でも担当製品が異なるというケースがあります。
詳しくは「MRの担当製品について領域別?製品別?エリア別?」で記載予定なのでしばらくお待ちください。
要するに会社が取扱ってる製品が多ければ、製品を大きなカテゴリーで分けて担当させるというところもあるということです。
同じA社のMRでもがん領域の製品は担当しているけど、高血圧などの製品は担当していません、ということが出てきます。
このような場合、担当領域に関しては深い知識を習得できるのでドクターと専門的な深い話ができるというメリットがある反面、現場のドクターは戸惑うことがあるようです。
同じ会社の製品なのに、この薬は担当ではないので、担当MRに問い合わせてください、ということもあり得るからです。(ここまではっきりしていませんが…)
※実際はここまではっきりいうMRはいませんが、表面的な答えて詳細は担当のMRが…というパターンが多いような気がします。
脱線してしまいましたが、以上がMRの業務内容の「提供」という部分になります。
MRの業務内容:「収集」
続いて「収集」は、使ってもらった自社医薬品の効果や副作用など患者さんの状態の聞き取り、特に安全性情報の収集になります。
処方した結果、効果はどうだったのか?また、もし患者さんに副作用が出てしまったら詳細を聴き取り会社への報告が必要になります。
そのように迅速に安全性情報を報告することで、副作用が広がることを防ぐことになります。
くすりを反対から読むとリスクになります、「くすり」は「リスク」という言葉もある通り、基本的にくすりは体にとって異物です。
効果のある反面、どうしても副作用も出てきてしまいます。それを「収集」し、最小限に抑えるという大事な業務をMRが担っています。
現場では…
というような形になります。
現在では多くの医療機関が院外処方せんになっているので、調剤薬局での「収集」も非常に重要になっています。患者さんもドクターよりも薬剤師さんのほうが相談しやすいようで、本音を相談することが多いようです。
MRの業務内容:「伝達」
そして「伝達」は、収集した安全性の情報が集積されたものを伝達するという業務です。
上記の「収集」でいろいろな安全性情報、副作用などが全国から集まるので、それを会社として集積して伝達していくというものです。
現場では…
以上の「提供」「収集」「伝達」を通じて自社医薬品の適正な使用と普及を図ることがMRの業務になります。
今後は…「MRのノルマについて」「MRと一般的な営業の違い」「MRの年収」「MRの担当エリアについて」「MR認定試験とは?」などについて更新していく予定です。